聖神社境内に建てられている「和銅鉱物館」には、自然銅はもちろん、日本全土、東アジア、アメリカまで含めた広範囲に渡って収集された和銅関連の鉱石類、350点余りが展示されています。正木丹治先生、久下 司先生、小林據英氏、太田口福松氏、日窒鉱業所をはじめ多くの方々のご提供によるものです。
なお同館には、いわば「和銅の時代」の遺物である「蕨手刀(わらびてのとう)」や左甚五郎作の竜頭を源とする「黒谷の獅子舞」の獅子頭も展示されています。
柄頭が蕨の若芽に似た曲がり形をした刀なので「蕨手刀」と呼ばれます。平背、平造り、無反の刀相で、全長44.8cm、刀身32.6cmの刀です。明治41年(1908年)10月、秩父市の大野原古墳群(荒川の支流の横瀬川を挟んで西南方、和銅遺跡と対称の地域)の中、現秩父市立原谷小学校建設工事の際に敷地内の小円墳から出土したものです。展示してある直刀六振りのほか、鉄鏃、和同開珎も伴出しました。
多くの出土例と同じく、終末期古墳からのものであって、七世紀の所産と見られ、和同開珎を伴っている点からも、蕨手刀の持つ時代の特徴を備えた優品とされています。渡来人とも関わって、埼玉県指定史蹟の「飯塚・招木古墳」等の調査に基づく解明も大いに望まれるところです。
和銅関連の標本350点余りを展示